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(株)武雄嬉野国際カントリークラブ〜簡易再生法の適用申請まで


この記事は週3回(地区によっては週1回)郵送でお届けする企業情報紙「東経情報」から抜粋したものです。東経情報についてはこちら>>>

 5月9日、福岡地裁に民事再生手続開始を申し立てた(株)武雄嬉野国際カントリークラブ(佐賀県武雄市)。流動的ながら債権者1,573社(名)に対し19億6,651万円という負債総額は今年に入り佐賀県内では最大となり、ゴルフ場の倒産では昨年12月の(株)コハラ(佐賀市、負債総額103億7,200万円)以来となった。しかし、最近のゴルフ場の倒産に多く見られるような、通常の民事再生法の適用ではなく、民事再生法の中でも簡易再生法(債権調査・確定手続を経ずに直ちに再生計画案の決議の為の債権者集会が開催され、簡易且つ迅速な再生計画の成立が可能な手段)という手法をとり、預託金返還を10年先送りする為の方法として法的手段をとったものである。

【高度成長時代での開業】

 日本の高度成長の真っ只中である昭和48年1月(株)武雄国際カントリークラブの商号で設立、同年4月に現商号である(株)武雄嬉野国際カントリークラブに変更し、杉原 輝雄プロをアドバイザーに同53年1月ハーフコースが完成し開業した。同年7月には全18ホールが完成し、温泉地である嬉野市や武雄市の中間に位置する立地条件の良さや、好景気によるゴルフ人口の増加もあって会員権の売れ行きも良く、ピーク時には年間7万人以上の来場者を記録し、平成3年4月期の年商は11億5,000万円内外を計上した。

【オーナー不在での運営】

 左記のように業績は比較的順調に推移していたが、昭和54年3月当時の代表A氏が東京都にあるB社に運転資金として5億円内外の融資を受けた。この際、不動産等を入担すると共に当社の株券を担保として預けたものの、借入金を返済しても株券を返還してもらえない事から同58年「株券の所有権」を巡る訴訟に発展した。この訴訟で、代表取締役候補が当時の代表A氏、B社、設立当初の取締役C氏の3名に及び同59年3月より取締役兼代表取締役の職務代行者として長崎市の弁護士等が就任し、100万円以上の資金運用に関しては同弁護士の許可がないと使えないという異様な経営状態が続いた。なお、同58年11月にB社主導で資本金を2億5,000万円に増資したが、平成8年6月に新株発行分、役員選任及び退任には無効判決が下っている。

【バブル崩壊後の業績】

 前述の通り、バブル崩壊直後までは順調な業績推移をみせていたが、不景気の煽りを受け、来場者は激減。さらに暫くして近隣ゴルフ場の民事再生手続開始の申立等が相次ぎ、プレー代のダンピング等で当社の売り上げも減少、平成19年4月期決算では4億6,800万円内外の年商とピークの半分以下にまで減少していた。

【オーナー交代】

 そうした中、平成19年4月に韓国系企業である(株)サイカンホールディングス(東京都千代田区)等が出資し同社が筆頭株主となり事実上のオーナーとなった。事実上、過去の株券問題は解消し再スタートを切った形だ。当ゴルフクラブは前述の通り会員権の販売も比較的スムーズに行った事から、株券の問題はあったとしても無借金経営を続け、平成元年から同13年まで「キャスコオープンプロ」や「アマチュアゴルフ大会決勝」等が行われる程の西九州地区有数のコース。バブル期までは佐賀県内でも1、2位を争う程で、他のゴルフクラブとは比較にならない程経営状態は良かった。しかし、今年開業30周年を迎え、クラブハウスは老朽化しすべての会員権が償還時期を経過していた。

【預託金返還訴訟から簡易再生法まで】

 来場者を増やすには、クラブハウスの建て替え、カートの入れ替え、コースの改修等、その費用として数億円単位の投資が必要。平成19年12月時点での非常貸借対照表では現預金は4億円を有しているものの、実質負債額を引いた資産額は12億9,699万円の債務超過の状態。現時点では預託金返還する原資がない。そこで、会員各位に預託金返還権を10年間据置するよう同意書を発送した。しかし、3月末までに4名の会員から預託金返還請求訴訟を提起されていた。少数とはいえこの数名に対してのみ預託金を返還した場合、芋づる式に訴訟が発生する事を予想。そこで、5月9日福岡地裁に預託金を10年間据置する為の簡易再生法の適用を申請した。

【簡易再生法の同意は得られるか?】

 今年秋口にある債権者説明会までに5分の3以上の同意が必要。ゴルフファンの最重要項目であるプレー権は当然守られ、10年後には預託金をすべて返還するという文言がある為、5月末時点で1,000人以上の同意書を回収しており、この簡易再生法は成立する見込みが高い。

【今後の資金繰り】

 申立書によると今年5月〜10月までの月次資金繰り見込み表では8月は赤字となっているものの大半は黒字計上。半年間の総収入は2億5,500万円。反面、総支出は2億1,700万円である為、差し引き3,800万円の利益が出る事になる。ちなみに平成19年(1月〜12月)の来場者数は4万1,522人、総収入5億5,088万円に対し、金融機関に対する預金積み立て2,300万円を除いた総支出は5億5,762万円となり、674万円の赤字。資金繰り予定表で行けば確かに現預金4億円プラス年間7,600万円の利益を計上できれば、クラブハウスの建て替え等の投資は容易(たやす)く、来場者も増えるだろう。
 しかし、10年間据置した19億円以上にのぼる会員権返還は実現するであろうか?今後の業績を含め動向が注目される。

 
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