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東証2部・戦後2番目の上場ゼネコン破産申立 井上工業(株)〜異例の破産劇・刑事事件へ


この記事は週3回(地区によっては週1回)郵送でお届けする企業情報紙「東経情報」から抜粋したものです。東経情報についてはこちら>>>

 「第三者割り当て増資と新株予約権発行に関し、払込期日に割当先から予定通り合計18億2,000万円全額が振り込まれたが、この支払期日である9月24日に、当社幹部社員が無断で15億2,000万円を流出させていたことが、後で発覚した。」として、10月16日、東京地裁へ破産手続開始を申し立てた井上工業(株)(群馬県高崎市和田町2-3、総合建設、年商279億円)は、各方面へ波紋を広げ、アングラ筋の動向も含め、18億円余りのカネの流れに当局筋も関心を寄せている。


【群馬の名門 一難去って又一難】

 当社は、明治21年6月創業。今年創業120年を迎えた名門会社で、高崎白衣観音や県立近代美術館など"高崎市の文化を作ってきた企業"で、故・田中 角栄首相が青年時代、籍を置いていたことでも有名であった。ただし、今から20年程前のバブル時代に、タイの無人島に75のコテージを持つ総合リゾート施設(ザ・マイトン)開発事業が大失敗に終わり、平成11年9月中間期に107億円もの特損を計上、同12年3月に特定調停法による債務免除を要請し、同年7月、メーン群馬銀行をはじめ合計16金融機関より、142億円の債務免除を受けた経緯がある。

 この結果、経営危機は脱したものの新たな銀行支援は難しくなり、同14年3月に第三者増資で4億8,000万円調達、同年11月には、さらに10億円の増資を発表したものの、2億円しか払い込まれなかったこともあった。この後も業績悪化が続いたため、同17年8月から10月にかけて、3度目の第三者増資・新株発行で83億円の資金をかき集め、債務超過を解消したが、同18年3月末には、(株)プロス・G(東京都中央区、マンション企画開発、年商86億円)が筆頭株主となり、同19年6月に同社オーナーが当社社長に就任していた。同19年6月頃といえば、改正建築基準法が施行されたものの、マンションブームのピークでもあり、目端の利かない不動産業者が銀座や赤坂で豪遊していた時期でもある。


【過去の失態を生かせず】

 当社も、(株)プロス・Gやその他マンション業者の工事を目一杯施工していたが、この直後から住宅ブームが崩落。さらに今年1月21日、新社長個人の当社株券担保株式投資(信用取引)の失敗で追い証(証拠金不足)が払えず、証券会社が担保株券(当社株式)を強制売却したため、当社株価はストップ安となり、大きな信用失墜につながったこともあった。そして、マンション工事の不良債権や未収金、果ては(株)プロス・Gへの資金流出が重なり、今年7月に代表取締役社長を解任し、古参役員が社長に就任。第三者増資・新株発行という6年前から続けられてきた従来の手法で段階的に30億円の資金調達を発表し、予定通り9月24日夕方、18億2,000万円の払い込みを発表していた訳である。


【なぜ不正流出が・・・】

 10月16日、東京地裁で破産手続きを済ませた後、夕方5時から社長が本社で従業員279名の全員解雇を通告し、その足で7時過ぎ東京証券取引所の記者会見に臨んだが、衝撃の"18億2,000万円の資金流出"については「調査中」と繰り返し、発覚後の情報非開示については「投資家も含め事実がどれだけ影響が大きいのか判断ができなかった」と話している。
 カネがないために増資をして、18億円余りものカネが入金されながら、入金された直後に15億円ものカネがなくなった件を、「後で知る」程の余裕がある会社ではないし、流用した社員は即刻告訴すべき筈なのに、今頃になって「警視庁に刑事告訴する方針」というのは一体、何が隠されているのだろう。
 今回の増資話に関しては、アングラ筋の介入や増資に関する裏契約の風評などもあり、警視庁(捜査2課)の真相解明が求められている。負債総額は、グループ会社を含め125億円であるが、上場ゼネコンの破産申立は戦後2番目である。

 
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