2008/10/21
<シリーズ> 激震走る!! 不動産・建設業界に倒産の嵐 〜破たんの真相〜 その2 (2/5) この記事は週3回(地区によっては週1回)郵送でお届けする企業情報紙「東経情報」から抜粋したものです。東経情報についてはこちら>>>
◆苦境に陥る新興ディベロッパー その波紋はゼネコンへ(続き)
経営不安が高まる新興不動産業者 直近の業績が過去最高の売上高を計上した不動産業者は特に厳しいと見られている。 東証2部上場のランドコム(本社・横浜市)は07年12月期売上高279億円(前期比149億円増)、最終利益は15億円(前期比7億円増)と過去最高を記録。しかし、有利子負債も333億円と前期比255億円増となっており、ご他聞に漏れず急速な販売不振で社債償還が実行できない事態となっている。 東証1部上場のジョイントコーポレーション(本社東京都目黒区)も08年3月期は過去最高の売上高を確保。しかし、有利子負債は1736億円から2181億円に増加していた。ファンド向けの物件が中心であるため、今期に入ってからの販売不振の影響もあり手持資金が急減、3月末時点に407億円あった現預金は6月末には175億円にまで目減りしてしまい、資金繰りにも支障が出始めていた。そうした矢先、オリックスが同社の第三者割当増資の引き受け先として名乗りを上げ、支援に乗り出すことになったようだ。 東証2部上場のノエル(本社・川崎市)も新興マンションディベロッパーで、07年8月期は売上高804億円(前期比286億円増)、経常利益30億円(前期比14億円増)と過去最高の業績、有利子負債は466億円と前期比111億円の増加となっていた。08年2月の中間期には経常損益段階から6億円の赤字に転落、逆に有利子負債は518億円に膨らみ資金面が心配されている上、8月末の時価総額が上場基準を下回り上場廃止猶予期間に入っている。 今、関東の不動産業者の間では、「上場不動産企業で生き残れるのは財閥系5社のみ」と囁かれている。現実となったら空恐ろしいことであるが、破綻予備軍は多く、新興ディベロッパーに限らない。 不動産業者は資金繰りが悪化してから倒産するまでの速度が急速に速まっている。バブル崩壊後の1990年代にも不動産会社の大型倒産はあったが、破綻するまで数年の猶予があった。その当時は金融機関自体が経営危機にあり処理できる体力が無かったが、現在は速やかに処理が出来る余裕がある。特にメガバンクがメインの企業にとっては銀行の見切りが早いだけに、反社会勢力との関係のみならず、業績推移や資金繰り悪化の風評さえも倒産の引き金になる可能性が高まっている。
倒産から見える建設業界の深刻度 平成19年9月、民事再生手続き開始の申し立てを行い破綻した、みらい建設グループ(本社・東京都)の倒産は、業績の低迷により大幅な赤字に転落したことでシンジケートローンの財務制限条項に抵触、昨年9月末の返済が出来ずスポンサーも決まらなかったことが引き金となった。 しかし、今年7月に民事再生手続き開始を申し立てた、真柄建設と三平建設(本社・東京都)の倒産への経緯は異なる。東証1部上場の真柄建設は公共工事の削減の影響で業績が悪化、05年3月期は92億円の赤字を計上、主力金融機関の北國・北陸の2行を引き受け先とする120億円の優先株発行で債務超過転落を回避。しかし、07年12月に大阪支店での粉飾決算が発覚。追加損失約44億円など過年度決算修正を余儀なくされると同時に、監理ポストへ移された。 08年3月期にも27億円の赤字となったものの北國銀行出身の新社長が就任。再び40億円の優先株発行を行うことを発表していたが、6月に入り、愛松建設(本社・愛知県稲沢市)に5億円、丸美(本社・福岡市)に14億円の不良債権が発生したことで行き詰った。 ジャスダック上場の三平建設も今年に入り、2月に東洋ホーム(本社・横浜市)に14億円(物件引き渡し前で子会社の三平地所が引き継ぎ実損1億円)、6月にはケイ・エス・シー(本社・東京都)に6億円、興大(本社・東京都)に14億円が焦げ付き、真柄建設と同様、不良債権の続発が倒産の引き金となった。 7月31日、元上場企業である多田建設(本社・東京都)が3度目の会社更生法適用を申請し、破綻した理由も昨年11月の歩路運(本社・東京都)、今年3月の東亜住販(本社・東京都)、7月の興大に合計15億円の不良債権が発生したからである。 数年前からの公共工事削減で官公庁工事の受注が減少、さらに脱談合による利益率の低下と土木工事主体の経営体質であった企業は民間工事受注に軸足を移してきた。 しかし、もともと民間工事主体であったゼネコンも含め競争の激化で赤字受注を続出させる結果となり、昨年施行された改正建築基準法による着工遅れや資材の高騰により採算性は一層悪化。そうしたマイナス要因が重なる中、金融機関は建設業界に対しても信用リスクの高まりにより貸し出し姿勢を厳格化してきている。そこに大口不良債権が発生すれば生き残るための選択肢は限られてくる。 ゼネコン側も危険度が高まっているマンションディベロッパーとの取り引きについては出来るだけの保全をしており、最近では回収手形を金融機関に売却する方法も利用され、また、引き渡し前の物件の場合、代物での回収で実損を回避する場合があり、正確な不良債権額では無いが、ゼファーに若築建設(本社・東京都)が約19億円、飛島建設(本社・東京都)が約12億円。アーバンコーポレイションに五洋建設(本社・東京都)が約23億円、戸田建設(本社・東京都)が約22億円、東急建設(本社・東京都)が約14億円。近藤産業に長谷工コーポレーション(本社・東京都)が約46億円、7月に民事再生手続き開始を申し立てたマツヤハウジング(本社・東京都)に長谷工コーポレーションが10億円などマンションディベロッパーの破綻によるゼネコンへの影響は大きい。さらに真柄建設に対して日特建設(本社・東京都)や暁飯島工業(本社・東京都)、機動建設工業(本社・大阪市)が焦げ付くなど、連鎖したゼネコンに不良債権が発生する構図も見られる。
リーマンショックで業界の不安増幅 9月15日(日本時間)米国の大手証券会社リーマン・ブラザーズが連邦破産法11条(会社更生法)を申し立てた。翌日には日本法人のリーマン・ブラザーズ証券とリーマン・ブラザーズ・ホールディングスが民事再生手続きの開始を申し立てた。債権者は銀行が主であるが、不動産担保融資を受けていたノンバンクやファンドも数多く、今後一層国内の不動産関連業界への資金の流れが停滞することが予想される。 また、リーマンショックに加え、9月末には銀行の中間決算が控えており、再び不動産・建設業者の倒産が続発する可能性が高いと見られ、まだまだ予断を許さない状況が続く。
◆苦境に陥る新興ディベロッパー その波紋はゼネコンへ(了) (その3へつづく)
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