2008/10/20
<シリーズ> 激震走る!! 不動産・建設業界に倒産の嵐 〜破たんの真相〜 その1 (1/5) この記事は週3回(地区によっては週1回)郵送でお届けする企業情報紙「東経情報」から抜粋したものです。東経情報についてはこちら>>>
不動産市場が一気に冷え込んでいる。数年前から続いた外資系のファンドによる取り引きが急減し、これらとの取り引きで事業を拡大してきた新興ディベロッパーが相次いで破たんに追い込まれている。その余波は受注先であるゼネコンにも飛び火し、倒産の連鎖が全国に渦巻いている。 ◆苦境に陥る新興ディベロッパー その波紋はゼネコンへ 始まった倒産ラッシュ 8月29日午後、某金融機関からゼネコン破綻の連絡が入った。倒産したのはりんかい日産建設。東京都港区に本社を置く総合建設会社で、東京地裁に会社更生手続き開始を申し立てた。未上場ながら負債は630億円に達し、今年に入ってのゼネコン倒産としては7月5日に民事再生法の適用を申請した真柄建設(本社・金沢市)の負債348億円を上回って最大となった。 SPC(特定目的会社)を活用した不動産開発事業でファンドへの売却が相次ぎ延期になった結果、SPCの貸し手に対し、3月から6月までに800億円の債務保証の履行を余儀なくされ、さらに、6月にはマンションディベロッパーのNANBU(本社・東京都)とケイ・エス・シー(本社・東京都)に合計10億円の不良債権が発生し、資金繰りが悪化していた。 今年に入り上場企業の倒産は9月19日に民事再生手続きの開始を申し立てたHuman21(ジャスダック上場)で14社目。昨年は1年間で6社であったことを考えれば、倒産多発時代に突入していることが分かるであろう。このペースで行けばピークの2002年29社を超える可能性もある。14社のうち、不動産・建設関連の企業は10社を占める。
倒産から見える不動産業界の深刻度 2年前の夏、金融庁は各金融機関に対して、不動産業者への融資抑制を口頭で指導した。当時不動産価格は高騰を続けていたため国としてはバブル時代の二の舞を懸念、さらに反社会勢力への資金流出を止めることも念頭に置いての指示であった。 1年後の昨年夏頃より、各金融機関は不動産業者への融資の厳格化を実行、不動産絡みでの案件には融資が絞られていった。このような中、サブプライムローン(低所得者向け住宅ローン)問題に端を発した世界的な信用の縮小で、不動産に積極的な融資を続けていた外資系の金融機関やファンドが不動産事業から急速に撤退し始めた。 ミニバブルと化していた不動産業界、特に新興ディベロッパーは、土地の高騰とともに土地手当てに邁進、大量の在庫と借り入れを抱える状況となっていた。しかし、マンションは価格の高騰が続いたことで消費者には手が届きづらくなり、さらに、景気悪化の影響で購買意欲の減退、少子化による購買人口の減少などが重なり売れなくなっていった。 不動産への融資が絞られたことでマンション以外の物件も価格が下落、同業者や不動産ファンドへの転売やリファイナンスも難しくなり、売り上げが細る中、増加した金利や借り入れ返済の資金も確保できず資金ショートとなってしまう。 スルガは東証2部上場企業で横浜市に本社を置く不動産・建設会社。6月24日に民事再生手続きの開始を申し立てた。売り上げは土地バブルの波に乗り、2007年3月期808億円から08年3月期は1258億円と急増していた。 しかし、今年3月反社会勢力へ多額の資金を渡して立ち退き交渉を委託していたことが発覚、金融機関は一斉に支援を打ち切って回収に入った。同社は反社会勢力との繋がりを噂された事で信用縮小、自主再建を断念した。 7月18日に民事再生手続き開始の申し立てをおこなった、東証1部上場のゼファー(本社・東京都)は、マンション分譲を主軸に、05年には東証1部上場のベンチャー投資会社SBIホールディングス(本社・東京都)との資本提携を機にリゾート分野にも進出、さらに、06年には、やはりマンションディベロッパーで経営危機後、外資をスポンサーとし再建してきた近藤産業(本社・大阪市)を子会社化するなど、事業規模拡大を図ってきた。しかし、今年3月に偽装した決算書や納税証明書、評価額を水増しした不動産鑑定書などを提出し、不正に銀行から融資を受けていたことが判明。さらに5月には近藤産業が負債322億で破産した事で信用失墜、命綱であったSBIからの支援も限界に達した。 8月26日民事再生手続き開始の申し立てをおこなった東証1部上場の創建ホームズ(本社・東京都)は、富裕者層を対象とする戸建てや分譲開発を手掛けて急成長し、07年2月期は過去最高の業績を確保した。しかし、主要顧客層であるニューリッチ層も株式市況の悪化で資産が目減りし購買意欲も減退、08年2月期の赤字決算を受けシンジケートローンの財務制限条項に抵触したため資金調達が困難となった。 このように売り上げの低迷、在庫・有利子負債過多に加え、反社会勢力との繋がりが疑わしければ相当倒産の可能性は高くなる。 現在分譲マンションは完成しても不良資産になる可能性が高く、開発計画の延期や中止が相次ぐ。また、金融機関からの融資は不動産と名が付くだけで困難な状況である。
(その2へつづく)
|