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日本版LLP制度の導入について
=人的資産を活かすパートナーシップ型の新組織=


【第2回】海外の制度の整備状況と日本版LLP創設の取り組み
【監修】福岡県中小企業団体中央会

新しい有限責任の人的組織(パートナーシップ)は諸外国で整備が進んでおり、以下のようなものがある。
●米国LLC (Limited Liability Company)
米国LLCは、1977年に、ワイオミング州がパートナーシップ制度を改正することにより初めて導入した組織形態で、その後1990年代に入り各州でLLC法が整備され、金融・保険・不動産・リース業、高度サービス業、研究開発、一般の製造業等多様な業種で利用が進み、近年急速に普及してきている。
ここ10年間で80万のLLCが誕生しており、インテルとモトローラなどの共同研究開発ジョイント・ベンチャー、ファンドなどの金融産業、ソフトウェアやコンテンツ開発などのIT産業での活用が盛んとなっている。
●英国LLP (Limited Liability Partnership)
英国では、公認会計士業界や弁護士業界で、職務義務を巡る訴訟が増加し、無限責任のリスクが高まっていたことから、2000年に米国LLC類似の制度としてLLP制度が導入されている。
会計事務所や法律事務所など法律制定時に想定していた専門的職種のみならず、デザイン、コンテンツ産業等一般の事業体においても活用がすすんでおり、制度創設後3年間で約1万のLLPが創設されている。

●ドイツ有限合資会社(GmbH&Co.KG)
日本の合資会社に相当するドイツのKGは、組織内部の規定に関しても自由度が高く構成員課税が適用される上に、有限会社(GmbH)が無限責任に就くことが可能なため、実質的に全構成員の有限責任を確保することができる。このため、KGの無限責任にGmbHが就く有限合資会社制度が積極的に活用されている。
●日本版LLP創設の取り組み
経済産業省においては、有限責任のパートナーシップを実現するため、民法組合の特例制度として、有限責任事業組合(日本版LLP)制度を創設している。この制度は、2005年4月27日に成立し、同年8月1日に施行している。制度の概要は以下のとおりである。

(1)LLPの出資者全員に有限責任制を付与
@有限責任制度の導入
出資者全員が無限責任の民法組合契約制度の特例として、出資者全員が有限責任となる新たな組合契約制度(有限責任事業組合(LLP)制度)を設ける。
・通常の取引債権者に対する出資者の有限責任
LLPの取引債権者は、LLPの組合財産から弁済を受ける。LLPの出資者は出資金の範囲で責任を負う。
・不法行為により損害を受けた債権者に対する出資者の責任
LLPの出資者が起こした不法行為により損害を受けた債権者は、LLPの組合財産から弁済を受ける。出資者は出資金の範囲で責任を負うが、不法行為を行った出資者は、不法行為者として無限責任を負う。
・悪意・重過失の業務執行者の第三者に対する責任の明確化
悪意・重過失でLLP以外の第三者に損害を与えた業務執行者に対しては、その責任を明確化する。

A債権者保護規定の整備
出資者全員の有限責任制を導入することの見返りとして、債権者を保護するための規定を整備する。
・開示ルール
有限責任事業組合契約の登記制度、有限責任事業組合という名称の表示義務、財務データの債権者への開示義務。
・債権者保護のための組合財産の保全
設立時の出資金の全額払い込み規制、労務出資の禁止(労務などの提供を反映した柔軟な損益配分は可能)、組合財産の分配規制。

(2)内部自治の徹底
@内部組織の柔軟性
民法組合と同様、LLPの業務執行者に対する監視機関の設置は義務づけない。すなわち、取締役会や監査役、社員総会などは義務付けられない。
A労務や知的財産、ノウハウの提供などを勘案した柔軟な損益分配
LLPにおける出資者間の損益分配は、原則出資比率に応じて行うものの、LLP法に基づき書面による特別な定めを行えば、労務や知的財産、ノウハウの提供などを勘案して出資比率と異なる損益分配を行うことができる。

(3)共同事業性の確保、構成員課税など税制上の取り扱い
@共同事業性の確保
債権者保護の観点と構成員課税の適用の観点から、LLPの共同事業性の確保を図る。重要な意思決定(組合の名称、事業内容、損益の分配割合、多額の借財など)については、その結果を組合契約書に明示することなどを義務付け、全員一致で決定する。また、全出資者が何らかの業務執行(経営)に参加することとするとともに、その際、参加の形態は出資者の能力に応じて分担することもできることとする(注)。
(注)単にLLP事業に投資だけを行う出資者は認められないと考える(出資のみならず経営に参加して、業務執行を行う、いわゆるハンズオン型の出資はできる)
A構成員課税の適用
上記のように、共同事業性を確保し、租税回避(組合事業から生じる損失を利用して節税を図る行為)的な目的で使われることを抑止することを前提に、LLP段階では課税せず、出資者に直接課税する仕組み(いわゆる構成員課税)を適用する。

(4)LLPを幅広く活用するための関連制度の整備
LLPは、民法組合と同様、その業務執行者の名義で契約をし、財産を所有し、訴訟を行うことができ、その効果は全出資者に及ぶ(契約などの主体性)。また、LLPは、民法組合と同様、知的財産権や不動産も組合財産として保有でき、出資者の個人債権者はこれを差し押さえることができない(組合財産の独立性)。このように、LLPに法人格はないものの、経済主体として十分に機能できるが、さらにより円滑にLLPを事業体として活用するために、以下の対応を行う。

@特許登録や不動産登記に関する手当て
LLPが行う特許登録については、単なる出資者連名ではなく、LLPの組合財産であることを付記した連名での登録が可能か運用上の問題点も含めて検討が進められている。またLLP行う不動産登記についても、当該不動産がLLPの財産であることを公示することにより取引の安全性が高まる効果が期待できることから、LLPの組合財産であることを付記する方向で検討するよう関係省庁に要望する。
A許認可事務の合理化
LLPは、出資者が許認可を受けることにより許認可事業を行うことができるが、許認可を要する事業を行う際に必要な手続きに関し、業務執行者名義などで手続き可能となるよう、関係省庁に要望する。
【第1回】人的資産を活かす共同事業の組織形態の必要性
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