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日本版LLP制度の導入について
=人的資産を活かすパートナーシップ型の新組織=


【第1回】人的資産を活かす共同事業の組織形態の必要性
【監修】福岡県中小企業団体中央会
●ニーズに合った新たな組織の創造
 グローバル化やIT化が進み、企業を取り巻く環境が大きく変わるなかで、企業の競争力の源は、人的資産へとシフトしている。経験に基づく深い知識や経営ノウハウ、技術に関する知見やビジョン、効果的な実践スキル等人材が持つ専門的な能力が、他社との差別化を生み出す鍵となってきている。
こうした専門的な能力は、単独で使うよりも、他の能力と組み合わせることによって、より大きな効果を発揮する場合が多い。このため、専門的な能力を有する個人や企業が集まり、共同事業を営むことでより大きな価値を創造するニーズが高まっている。企業経営者にとっては、いかにして専門的な能力を有する人材を確保して人的資産を蓄積するか、いかにして外部の人的資産との連携を図る共同事業を実施していくかが重要な課題となっており、「組織の形態」もそのためのツールの一つといえる。どのような組織形態を選択するかによって、その組織に所属する者の責任や意思決定・利益分配の基本ルールが決まり、また、税制も組織形態によって異なるためである。
 それでは、企業が専門的な人的資産を蓄積し、また、外部との共同事業でより大きな効果を発揮させるためには、どのような組織形態が適しているのか。
現在の日本の組織形態としては、株式会社、有限会社、合資会社、合名会社、組合等が存在するが、実際に使われている組織形態は、株式会社かその簡易版である有限会社が大部分である。しかし、株式会社は、資本の原理に基づく組織であることから、資金をたくさん出した者が、権限と利益分配の多くを握ることになる。資金を出す「株主」の利害によって、専門的な能力を出す「経営者や従業員」の行動が制約されることとなり、人的資産を核として共同事業を展開しようとする場合には最善の選択肢にならない可能性がある(もちろん、多額の資金を多く出資者から集めて事業を展開する場合は株式会社が適している)。
●パートナーシップ型組織の出現
 こうした中、「人的資産を活かす共同事業のための組織形態」として、コアとなる人材が出資者と経営者を兼ねているようなパートナーシップ型の組織形態が欧米で注目されている。パートナーシップは、日本で言う組合であり、個性を有する個人・法人が一定の目的のもと出資をして共同事業を営む組織形態である。「株主」対「経営者・従業員」という対立の構図ではなく、「出資者=経営者(パートナー)」というのが基本の組織で、「所有と経営が一致」しているため、業務執行、利益分配等の組織の内部ルールをパートナー間で自由に設定できる。専門的な能力を有する個人にとっては「会社に雇われる」のではなく、「自らが自らのボスとなる」ので、自分たちの能力を引き出しやすい組織づくりができる。また、企業同士の連携においても、資本の論理でなく、より柔軟な組織設計が可能となる。

●LLC・LLPの組織形態の利用
特に、欧米では、従前のパートナーシップに構成員の有限責任制(構成員が出資額を限度に事業上の責任を負う仕組み)を付与したLLC(Limited Liability Company)・LLP(Limited Liability Partnership)のような組織形態の利用が進んでいる。日本の組合を含めパートナーシップのほとんどは、構成員が無限責任(構成員が自分の個人的な財産を含めて事業上の責任を負う仕組み)となっているため、利用が限定されていたが、この有限責任制の導入により、格段に利用の幅が広がっている。このような新しい組織によって、専門的な能力を持つ人材や専門性の高い法人が自らの能力を出し合って、人的資産を活かすことが出来るモチベーションの高い組織が築かれている。これらの事業体は、出資者が出資額までしか事業上の責任を負わず(有限責任制)、出資者が自ら経営を行うので組織内部の取り決めは自由に決めることができる(内部自治原則)。
さらに税制面では、事業体に課税せずに。その出資者に直接課税される(構成員課税)ため、事業体段階で法人課税が課された上に、出資者への配当に課税されることを回避できるメリットがある。これら組織は、ハイブリッド・エンティティ(いいとこ取りの組織)とも呼ばれており、人的資産を活かす共同事業のための組織形態として、様々な産業の振興に貢献すると考えられる。
【第2回】海外の制度の整備状況と日本版LLP創設の取り組み
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