今回は、個人業務請負と労働者の線引きをどのようにしたらよいかということを最近の情勢を踏まえながら解説したいと思います。
2007年9月27日、厚生労働省から個人業務請負契約の形式で働くバイク便ライダーに関して「労働者性を認める」という通達が出ました。認めた内容としては@指揮監督があることA拘束性があること(勤務日及び勤務時間があらかじめ指定され、出勤簿で管理されていること)B代替性がないこと(他の者への配送業務の委託が認められていないこと)C報酬の労務対償性があること(報酬の基本歩合率が欠勤等により加減されること)D独自の商号の使用が認められず事実上兼業を行うことが困難な状況にあることという総合的な点で労働者として判断されました。
最近の経営書等で「業務委託契約でリスクなく人材を活用する」「労働者ではなく、労働基準法の適用がなく、労働保険・社会保険に加入しない個人事業主である業務委託契約社員であることを契約書と誓約書にて契約者に明らかにしてください」と記載され書店に並んでいます。このように業務委託契約を結んだとしても実態が以下の内容に即していないと労働者と判断されることになります(詳細はQ&Aを参照下さい)。
(1)労務管理上の独立性―委託者からも受託業者からも独立し使用従属関係にないこと
@業務管理上の独立性直接自ら業務の遂行方法の決定等を行うこと。直接自ら業務遂行の評価等を行うこと。委託者の労働者や派遣労働者と同一業務を混在して行うものでないこと。委託者の事業所内で混在業務従事者の一員として委託者の担当者等の指揮命令を受けるものであってはならない。
Q&A
Q:発注者から請負事業主への注文と「指揮命令」とはどのように区分すべきか。発注者との定期的な業務進捗報告会に、請負労働者が出席することができないのか。
A:発注した請負業務の処理方法、完成の方法等が、発注者からの注文内容そのものである場合には、その内容を注文仕様書等で明確にすべき。発注者からの仕様変更等は、請負事業主の責任者に伝えること。発注者と請負事業主との間で定期的な進捗報告会を実施し、請負事業主の裁量で、自社の請負労働者を会議に参加させることも可能。ただし、会議の席上、あるいは会議の終了後に個々の請負労働者個人に対して、発注者が進捗を早めることなどの指示をしないこと。
A労働時間管理上の独立性始業・終業時刻、休憩、休日、休暇等について管理、拘束を受けないこと。時間外・休日労働の命令を受けないこと。
B秩序の維持、確保、人事管理上の独立性委託者の従業員のような拘束を受けないこと。ただし施設管理上、機密保持においては委託者の規則に従うことは当然とする。委託者の従業員的なスケジュール管理や勤務表による使用従属的な拘束を受けないこと。
Q&A
Q:発注者は、請負会社の安全衛生に関して関与することができるか。
A:合理的な理由があれば、発注者が請負労働者の服務規律に関与することも許される。また、請負労働者の不安全行動に対しては、発注者がその場で安全上の指導をすることも許される。
(2)個人事業主としての経営上の独立性―自己の事業として独立処理をするものであること
@報酬決定の独立性
自己の個人事業主としての立場から注文業務の処理についての対価を注文者側と協議して決定するものであること(業務の受注の諾否について自己決定権があり、注文指図により処理を受諾する義務を負っていたり、拒否すると懲戒処分を受けたりするものでないこと)。
Q&A
Q:請負代金を決める際に、料金を「処理時間×単価×人数」で決定することは許されないのか
A:本来、請負代金の算出方法が「処理時間×単価×人数」で算出されている事のみをもって、直ちに「偽装請負」となるものではないといえますが、このような算出方法では、単なる労働の対価を支払っているようにとらえられかねないことから、このような支払い方法は避けるほうがよいです。
A法律上の独立性
民法・商法その他の法律上の事業主責任を負い自ら請負業務を遂行するものであること。
B業務上の独立性
機械、設備、機材等の自己調達等により業務を処理するものであること。
Q&A
Q:発注者の設備、機械、装置等の利用について双務契約の価格はどのような点に注意すべきか。
A:請負事業主が、発注者から設備、機械、装置等を賃借する場合には、専門的技術、経験に基づいて業務を処理する場合以外は合理的な算定方法に基づいて算出された価格で賃借すべき。
このように個人業務請負と認められるには業務の独立性に関するチェックポイントがたくさんあります。今回のテーマが大きな問題となる場面は労災事故のときです。このことを念頭に置き、業務請負と労働者の区別を行ってください。
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