世の中の企業は大もあれば中、小企業もあり、すべての企業に退職金があれば問題ありませんが、ない会社があるのも事実です。
(例)Aさんは会社に15年近く勤務して、先ごろ自己都合により退職しましたが、会社は全く退職金を払ってくれませんでした。正社員、パートにかかわらず、その会社では退職金をもらっていなかったようです。15年もいたので退職金はあるだろうと勝手に思い込んでいました。会社に聞いたら「うちには退職金制度自体がないから支払うことはできない」という返事でした。Aさんはもちろん納得がいきませんでした。
さて、これは世間によくある話なのですが、では、会社としては法律上の問題はないのでしょうか。
経営者のみなさんも労働者のみなさんもよく理解してください。労働基準法第89条第1項によると、常時10人以上(アルバイト、臨時含む)の労働者を使用する使用者は、表にあげる事項について就業規則を作成し、監督署に届けなければなりません。
第3号までは「***に関する事項」となっているのに対し、3号の2からは「***の定めをする場合において***に関する事項」となっています。
第3号までは就業規則に必ず記載しなければならない「絶対的必要記載事項」です。すなわち、第3号の2以下の相対的必要記載事項については、そのような定めをしない場合には就業規則に記載する必要はありません。ということは、第3号の2以下の事項については、定める、定めないは当事者の自由に任されているということです。
従って、退職手当に関する定め(3―2)=退職金制度というのは、必ず設けなければならないものではありません。このような法律関係から、Aさんが勤めていた会社は違法ではありません。
退職金制度がない場合には退職金を支払わなくても労働基準法上、なんら問題なく、法律違反でもないのです。従って、Aさんが会社を訴えたところで問題になりません。長い年月を勤務し、退職金がないのもやはりさびしいものですが、これが現在の時代の流れであり、社会の矛盾かもしれません。
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